EARLIER治験について

EARLIER治験の概要

 急性心不全患者の発症数は、高齢化社会、生活スタイルの欧米化、慢性心不全患者の増加などの様々な要因により、着実に増加しています。現在の急性心不全に対する治療は、利尿薬、血管拡張薬、強心薬を用いた心血行動態の改善による救命および症状改善を主とした目的で行われています。
 慢性心不全に対する治療は、この20年間で、症状改善を目的とした治療から、臓器保護を考慮した予後改善を目的とした治療へと大きなパラダイムシフトが起こりました。急性心不全の治療でも、慢性心不全で起こったパラダイムシフトと同様、臓器保護により予後改善をもたらす治療法の開発の必要性があると考えています。心不全の急性期において臓器障害をもたらす標的因子の一つとして、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系シグナルの最終標的であるアルドステロンが注目されており、わが国でも慢性心不全に対する適応拡大に向けた治験が進行中です。
 急性心不全においても血中アルドステロン濃度が上昇しており、さらに血中アルドステロン濃度が高いと予後が悪いことを示す研究結果も報告されています。そのため、心不全急性期にアルドステロン作用を抑制することが、心臓をはじめとした臓器保護効果をもたらす新しい概念の急性心不全治療薬として期待でき、急性心不全患者の予後を改善し、さらに慢性心不全の急性増悪を予防することが期待できると考えられます。
 本研究(の一部)は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の【医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)】の支援によって行われています。

EARLIER治験の目的

 急性心不全患者の急性期に選択的アルドステロン拮抗薬であるエプレレノンを投与開始することにより、 投与6ヵ月間における複合エンドポイント(心血管死または心血管疾患による初回再入院)の発生を抑制することを、プラセボを対照として評価することを目的としています。
 複合エンドポイントの発生傾向がEPHESUS試験の結果と一貫していることを確認し、最終的に急性心不全治療薬としてのエプレレノンの承認を目指しています。